2018年8月1日水曜日

分割された球

万成石の彫刻
分割された球 万成石 46×46×46×



この作品は久保極のものとしては珍しく磨かれたもの。
久保極は滅多に石は磨かない。それと石で黒御影は使わない。
理由は、あえて書かないでおく。

さて、この前、チェット・ベイカーの
「ブルーに生まれついて」
をDVDで見た。

ジャズのトランペッター&、シンガーとして絶頂を極めていたチェット・ベイカーは、ある時、麻薬の売人に殴られ、歯を折られてしまいトランペッターとして致命的な傷を受け、トランペットが吹けなくなる。当然仕事はなくなり、困窮し、ガソリンスタンドで働いたりしながら、血がにじむような思いをして、トランペットの練習を重ね、またトランペットが吹けるようになる。

そのトランペットを吹く姿を眺めながら、彼のマネージャーが
「技術の衰えが、かえって味になっている」
と言うシーン。とても印象的だった。

誰でも、絶頂期というものがあって、体力、気力とも最高の時に一番いいものが作れる。でも下り坂になってからも、頂点を極めるまでやり抜いたアーティストには、その衰えや老いが逆に魅力になるのだ。

私は、若い時のチェットの歌もトランペットも好きだが、最後にボロボロになってからの歌とトランペットはもっと心に染み入る。

経験は最後にその人を助けてくれるものなんだな。
そしてたくさん積んだ経験がその人が作るものに深みと重みを出してくれるのである。

2018年5月27日日曜日

ジャイロスコープ

ジャイロスコープ 大理石の彫刻
ジャイロスコープ 大理石 12φ
ジャイロスコープ(英語: gyroscope)とは、物体の角度(姿勢)や角速度あるいは角加速度を検出する計測器ないし装置。ジャイロと略されることもある(ジャイロセンサと呼ばれることもある) ウイキペディアより。

今回の大理石の作品名はジャイロスコープ。ジャイロスコープとは飛行機やロケットの速度を計算したりするのに使用されているらしい。

久保極の作品名としてはぴったりだと思う。今までの抽象彫刻ではなかったかたちをずっと作り続けているのだから。

さて、今回はグループ展のお知らせです。

JUNE-Untitled
6月5日(火)〜17日(日)11:00〜18:00(月休み)(最終日16:00)まで。


ギャラリー 勇斎
奈良市 西林町22
tel/fax 0742-31-1674

32名の気鋭の作家の作品が見れます。とても素敵なギャラリーです。
お近くにお立ち寄りの際は是非!!

2018年5月14日月曜日

番外編 青御影石のペンダント

青御影石のペンダント
青御影石のペンダント
これは彫刻作品とは少し違うので番外編とした。

私が持っているのはろう石で作ったBのペンダントだけだったが、この前、時間があったのか青御影石のペンダントを久保極が作ってくれた。
青御影石はブラジル産。とても高価な石だそうだ。石は小さな破片を使ったそうだ。青御影石は高価すぎて彫刻には不向きだそう。


とても硬い石なので、Bのようなアルファベットにはすることはできないらしい。円形ならやりやすいそうだが、そこはハイテク技術を持った彫刻家としては面白くないので四角にしたそうだ。なんでも真ん中の穴を開けるのが大変難しかったらしい。

青御影石のペンダント
紺色の革紐をつけた
手芸材料店で、紺色の革紐を買ってきてつけたらいい感じになった。

世界でたったひとつだけのペンダント。とても値段はつけられないでしょう。

2018年4月17日火曜日

妖精

妖精 久保極の万成石の彫刻
妖精 万成石 30x30x30
ハードな日々が続いている。まっなんのバックもないのに芸術家をしているから当然なのだけれど。

以前、今はもう亡くなられた彫刻家のSさんに久保極が
「まさか久保くん、本気で芸術家しようと思っているのではないだろうな」
と言われたことがあるそうだ。

Sさんは奥さんも子供もいられて、大学の先生をされていた。彫刻の仕事だけで妻子を養うなんてとんでもない話だ。それでも色々苦労されていたのかな。結構節制した生活をされていたように見えたけれど癌で亡くなられたので。

で、そのまさかをずっと久保極はしている。まさか、まさかやめるわけにはいかないでしょう。自分で決めて自分で選んだことだから。

まさかをしていて何年になったやら。

我が家はTVを見ることはなく、映画は映画館で見て、夜はたいてい音楽を聴きながら、お互い好きな本を読んでいる。この間読んでいた本は、私はジョン・ル・カレで久保極は広瀬隆だった。

他の家庭とは全く違うが、「まさか」の芸術家の家なのでそれが当たり前なのである。

空気のように映画や音楽や文学がモノを作って生きていくのには必要なのだから。

2018年3月19日月曜日

立体・彫刻 OKAYAMA展

久保極の万成石の彫刻
万成石 知恵のわ 32x24x32



グループ展のお知らせです。

第4回 立体・彫刻 OKAYAMA展

2018年 3月20日(火)〜25日(日)

9:00〜18:00(最終日 16:00まで)

岡山県天神山文化プラザ 第1・第2展示室にて。

30名の作家の作品が展示されています。

久保極は万成石の作品を2点出品しています。
知恵のわは大理石の作品の万成石バージョンです。

お時間があれば是非どうぞ。

2018年2月2日金曜日

彫刻の制作過程 知恵の輪 Puzzle ring

彫刻の制作過程
最初は白い大理石の塊
彫刻の制作過程
少しずつ角を落としていく
大理石の彫刻
   球に近い形に
大理石の彫刻
中を彫り進める
大理石の彫刻
だんだんとくり抜けていく
大理石の彫刻
くり抜けた!
大理石の彫刻
くり抜いた部分をさらに彫っていく
大理石の彫刻
かたちが出来上がっていく
大理石の彫刻
知恵の輪 完成 久保極だけの幾何学のかたち
久々に彫刻の制作過程を上げた。3D幾何学のかたちがどうやってできるか、これでわかってもらえると思う。

2018年1月25日木曜日

知恵の輪 Puzzle ring

久保極の大理石の彫刻
知恵の輪 大理石
久保極大理石の彫刻
知恵の輪 大理石 横から見たところ
久保極大理石の彫刻
知恵の輪 大理石 正面
久々の作品のアップである。これは単にサイト製作者がサボっていただけのことである。もちろんこれも一つの石から掘り抜いたもの。3D幾何学の久保極だけの世界である。

さて、ここのところの関東の大雪、写真を色々ググって楽しんだ。ディズニーランドもまるで別世界。みんな色々雪だるまを作ったり、カマクラまで作ったりして楽しそうだ。不思議なことに雪が積もるだけで世界は一転して「非日常」の空間になる。

私たちは非日常を求めて旅をしたり、海へ行ったり、遊園地へ行ったり、映画を見たり、本を読んだりする。でも、意外な形で自然は私たちに非日常をプレゼントしてくれる。

雪が積もると、転んだり、車がスリップしたり、電車が止まったりしていつもと同じ日常を過ごそうとするとろくなことがない。

せっかくだから仕事なんかやめて非日常を楽しめばいいのになと、思ってしまう。これだけ雪が積もるなんて滅多にないことだから。

人生は一度きり。