妖精 万成石 30x30x30 |
以前、今はもう亡くなられた彫刻家のSさんに久保極が
「まさか久保くん、本気で芸術家しようと思っているのではないだろうな」
と言われたことがあるそうだ。
Sさんは奥さんも子供もいられて、大学の先生をされていた。彫刻の仕事だけで妻子を養うなんてとんでもない話だ。それでも色々苦労されていたのかな。結構節制した生活をされていたように見えたけれど癌で亡くなられたので。
で、そのまさかをずっと久保極はしている。まさか、まさかやめるわけにはいかないでしょう。自分で決めて自分で選んだことだから。
まさかをしていて何年になったやら。
我が家はTVを見ることはなく、映画は映画館で見て、夜はたいてい音楽を聴きながら、お互い好きな本を読んでいる。この間読んでいた本は、私はジョン・ル・カレで久保極は広瀬隆だった。
他の家庭とは全く違うが、「まさか」の芸術家の家なのでそれが当たり前なのである。
空気のように映画や音楽や文学がモノを作って生きていくのには必要なのだから。